佐野美がサバンナや野原に!? 会場にあふれる動物たちの鮮烈な生命力

 アフリカゾウが雄叫びを上げ、ガゼルが飛び跳ね、ゴリラがのっしのっしと歩き回る。風を切り裂くばさばさという鷹の羽音が聞こえ、ホッキョクグマは今にもアザラシをつかまえそうだ。三島市の佐野美術館で開かれているミロコマチコ展を訪ねれば、AR体験なんかよりよっぽどサバンナや野原、果ては極地のザワザワ感を感じられる。

生き物を描いたミロコマチコの作品を特徴づけるのは、色鮮やかさと画面を飛び出してきそうな生命力溢れる動物たちの息づかい。展覧会初日に来場していたミロコさん本人に訊ねると、「『速そうだな』と思ったら速そうに描くし、ずる賢そうだなと思ったらずる賢そうに描く。リアリティよりも、象なら自分が思い描く象、というように、それぞれ想像した性格を大事にしています」と創作の指針を説明してくれた。

「集中して絵を描いているとき、生きていることを一番に感じる」と語るミロコマチコさん

 

デビュー作にして日本絵本賞大賞を受賞した「オオカミがとぶひ」(2012年、イースト・プレス)以来、「ぼくのふとんは うみでできている」(2013年、あかね書房、小学館児童出版文化賞受賞)、「てつぞうはね」(同年、ブロンズ新社、講談社出版文化賞絵本賞)、「オレときいろ」(2014年、WAVE出版、ブラティスラヴァ世界絵本原画展 2015金のりんご賞受賞)と、矢継ぎ早に発表してきた作品は、次々に国内外の大きな賞を獲得している。

 

ホッキョクグマの孤高の気高さがビシビシ伝わってくる

動物たちの息遣いと自然の雄大さや厳しさが、触覚や聴覚など視覚以外の感覚にももたらされる気がしてくる

 

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