− 文化の混交とともに、身体を表現する演者と語り手の分離をはじめ、分裂に伴う逃走的な不安と統一を希求するカタルシス的な感情が、宮城演劇の真髄だと観る側として勝手に感じているのですが…。

宮城 言葉と身体が、ステレオ画のように「ずれているけれど、一致している」のが理想です。幼少期、誰しも身体的な動作や欲求と発話は一致していませんよね。両親や周囲の大人が、俯瞰的に判断して何をしたいのか、何を言いたいのか汲み取っている。しかし、人間は成長するに従って、幼児だったときの自身の言葉と身体のずれを忘却し、最初から一致しているものだと思い込んでしまう。われわれは、その一致を獲得した上で、なおかつ乖離していた幼少期のユートピアにたどり着きたいと思っています。観る人には、焦点を合わせて乖離した身体と語りが一致するイメージを幻視してほしいんです。

− 最後に、静岡の演劇文化についてうかがわせてください。「ふじのくに⇄せかい演劇祭」も静岡の地に根付いてきました。今後どのように発展させていきたいですか?

宮城 すでに市民や県民の方が家族連れで、あるいは買い物帰りに、「ふじのくに⇄せかい演劇祭」を観劇に訪れてくれるような土壌ができつつあります。おかげさまで今年の「ふじのくに⇄せかい演劇祭」も大盛況でした。今後は、子供達も含め、多くの人たちがもっともっと演劇に触れる機会を増やしていきたい。そしてゆくゆくは、海外から観客が大勢訪れるようになり、静岡出身の俳優や劇団が、世界各地で活躍するようになってほしい。音楽祭と演劇祭の違いはありますが、ドイツのザルツブルク音楽祭のような演劇祭と開催都市が理想です。ゆくゆくは静岡が世界的な演劇の街に成長してくれたらうれしいですね。

− ありがとうございました。

〜関連情報〜
SPAC 公式サイト
アヴィニョン演劇祭の現地情報を含む詳細は、公式サイトへ。

【アヴィニョン演劇祭公演報告 スペシャルトーク】
8月11日(金・祝)13時半〜
静岡芸術劇場(静岡市駿河区池田79-4)
登壇 本広克行(映画監督)、宮城聰
(参加無料 要予約)

 

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